【セクハラ】

セクハラの定義は、「女性が不愉快と感じる性的言動」と定着しています。
最近では、女性の上司から男性の部下への性的言動もセクハラとされています。
これは男女雇用均等法に基づくもので、裁判では使用者責任を問われています。
雇用関係にない業務請負なら、使用者責任は問われず安心なのかというと、そうではありません。

同業者の集まりの『会』の中に、セクハラの常習犯が存在していました。これを便宜上Aとします。
Aは、新しく『会』に入った女性に対してセクハラを繰り返します。
当然、セクハラの被害に遭った女性は、Aを避けます。
Aは、新しく入った別の女性にセクハラを行います。
男性の同業者の中でも「Aは(性的)に欲求不満だから女性は気をつけるように。」とまで言われていました。
多くの女性は、Aのセクハラを見過ごしていましたが、ある女性は違いました。便宜上B子さんとします。

B子さんは、2年間(年に2〜3回ほど会合でAと同席することになります。)、会合に参加し、Aがいると必ずAからセクハラの被害を受けていました。
胸を触られたり、膝を触られたりしていました。
B子さんは、『会』に入会して日が浅いので同業者の男性に相談はしていましたし、親しい同業者の男性は、B子さんの傍にいるようにしてAが近づかないようにもしてくれていましたが、常に傍にいるわけにもいかず、他人の目を避けるようにして、他人からは死角になるように、Aは、B子さんにセクハラを繰り返します。

ある会合のとき、B子さんは、Aを避けていました。
Aは、別の女性にセクハラをします。
その女性が怒って帰ると、Aは、B子さんに近づきセクハラをします。
B子さんは、Aが近づけば逃げました。
逃げるとAが又近づいてきます。
とうとう、B子さんは逃げ出し、会場の中心に行きました。
すると、Aは追いかけてB子さんの臀部を下から上に触ったのです。
人が見ている前で猥褻行為を行ったのです。
目撃者が複数人いるという非常に珍しいセクハラ被害の現場です。

これがB子さんと『会』が雇用関係にあり、Aも『会』と雇用関係にあれば、『会』に対して使用者責任を問うこともできますが、B子さんと『会』の間には雇用関係がありません。
個人に不行為による民事訴訟を起こしても、今までの判例では、弁護士費用にすらならないことから、B子さんは『会』に問題提起はしましたが、この時点では泣き寝入りをしました。

これで、この問題は終わりませんでした。
むしろ更に大きな問題となっていきました。

B子さんは、所属する『会』が『個人の問題』とすることに大きな疑問を持ちました。
B子さんは、セクハラの常習犯のAが存在するような『会』の体質に問題があると考えています。
『会』に問題提起をしても駄目なら、他のところでセクハラ問題に取り組むようになったのです。

女性の人権問題に取り組んでいる人たちや他のセクハラの被害女性たちとセクハラ撲滅に取り組みだしたのです。

請負契約でも、労働者性が認められる判例が次から次へと出ています。

B子さんは、色々な人たちにセクハラ撲滅のための相談や協力を求め活動しています。
当然、Aのセクハラや猥褻行為の話を実例として出します。
また、『会』の体質に問題があることを感じてくれる人たちに話すをするのですから『会』のイメージは良いことはないでしょう。

『会』を会社に置き換えてみて下さい。
品位に欠くこと、公序良俗に反することには請負契約も雇用契約も関係ありません。

セクハラは、会社などの組織全体のイメージダウンでしかありません。
被害女性の声に耳を傾ける姿勢があれば、最小限に抑えることができたトラブルです。

この平成の時代にセクハラ行為を繰り返すことができるAに問題があることには間違いありませんから、トラブルを完全に防ぐことはできませんが、トラブルを最小に抑えることはできます。

トラブル事例